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「よいではないか、よいではないか!」
「おやめくださいお殿さま!あ〜〜れ〜〜」
殿さまは女の帯を引っ張るだけ引っ張った。くるくると回る女。
しかし、殿さまは違和感を覚えていた。感じた事のない帯の感触。帯は次第に硬くなっていく。
「女よ。お主の帯、ちと硬すぎはしないか?」
「ふふ」
女が笑う。
殿さまが引っ張っているそれは帯ではなかった。
ガードレール。
なぜ女がこんなものを。赤い着物にも違和感があった。徐々に液体になる。血。
そうだ思い出した。俺は殿さまなんかじゃない。社長だ。助手席には妻。動かない。あぁ、あそこから落ちたのか。ガードレールを突き破って。俺も体が動かん。もう、ダメだな。
「……さま?お殿さま?」
「あ、あぁ。ちょっと酔ったか」
「私も酔いました」
「布団に入らぬか」
「はい」
満月が、二人を照らしていた。
「おやめくださいお殿さま!あ〜〜れ〜〜」
殿さまは女の帯を引っ張るだけ引っ張った。くるくると回る女。
しかし、殿さまは違和感を覚えていた。感じた事のない帯の感触。帯は次第に硬くなっていく。
「女よ。お主の帯、ちと硬すぎはしないか?」
「ふふ」
女が笑う。
殿さまが引っ張っているそれは帯ではなかった。
ガードレール。
なぜ女がこんなものを。赤い着物にも違和感があった。徐々に液体になる。血。
そうだ思い出した。俺は殿さまなんかじゃない。社長だ。助手席には妻。動かない。あぁ、あそこから落ちたのか。ガードレールを突き破って。俺も体が動かん。もう、ダメだな。
「……さま?お殿さま?」
「あ、あぁ。ちょっと酔ったか」
「私も酔いました」
「布団に入らぬか」
「はい」
満月が、二人を照らしていた。
その他
公開:20/01/11 12:42
更新:20/01/26 08:40
更新:20/01/26 08:40
X @Neon_W1tch
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