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 近道をして家に帰るときはいつもここを通る。ありふれた路地裏。角を曲がる。突然出現する屋台。なぜこんな場所に。何を売ってるか確認する。書いてなかった。

「あの〜すみません、何を売ってるんでしょうか?」

 男はねじり鉢巻をしていたが、どこか異質だった。肌が白い。こちらを見ようともせず、作業に没頭している。これはたこ焼きだろうか。

「ウチュウ、デキル」

 男がカタコトで答える。外国の人だろうか。宇宙?

「宇宙……ですか?」
「タベル、オイシイ」

 話が噛み合わなかったが、おいしいならとひとつ買うことにした。
 パックに何個か入ってくると思っていたが、本当にひとつだった。つまようじが刺さっている。見た目は完全にたこ焼きだった。

 かじる。

 溢れ出る黒い汁が、路地裏を覆う。俺の体は旨味に包まれ、徐々に熱を帯び、太陽になった。あ、あれは近所の田中さん。田中さんは地球になった。
SF
公開:20/01/09 08:07
更新:20/01/09 08:10

ネオンウィッチ( 2077年の青森 )

ツイッター @Neon_W1tch
 

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