蜜より甘い生物様へ

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「まるで生きているみたい」
僕を見て彼女は言いました。彼女の熱意に根負けした店主は非売品の僕を彼女に譲りました。
屋敷には蜂蜜の甘い香りが漂っています。
「人形さんに面白いものを見せてあげる」
彼女が合図すると使用人達は蜂蜜がたっぷりと入った大鍋を運んできました。鍋の中には苦しみもがきながら息絶えたであろう人間の男も入っていました。
「以前この人が私から蜂蜜を奪った時『蜂蜜を浴びるほど飲みたい』と言っていたから屋敷に連れてきてあげたというのに…溺れて死んでしまったみたい」
鍋の中の蜂蜜はブクブクと沸騰しています。
「人間って本当に甘い生き物ね」
彼女は愉快げに嗤います。
僕はこれまで上手くやってきました。これからもそのつもりです。
「…本当に生きているみたいね」
彼女は黄色と黒色の大きな顔を僕に近づけます。大鍋の熱で部屋の温度が上がってしまったようです。
額から一筋、汗が。
ホラー
公開:20/01/08 19:40

菫永 園(すみなが えん)

たまに金髪ギャルのひとです。
時空モノガタリにいたかもしれません。

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