卒論

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「誰が聞いても驚くような卒論を書くこと」
林が通うゼミは「人を驚かす方法」を研究をするゼミである。幅広いテーマに多くの学生が苦戦する中、橋部という生徒はすぐにテーマを決め、熱心に取り組みだした。教授室からよく見える場所を陣取ることが多く、時折、教授室の中を覗いてはキーボードを叩いた。
「橋本教授に気に入られるためだよな」
ゼミのメンバーは口々にそういった。
「場所変えたら?有る事無い事言われるの嫌だろ…」
林が伝えると橋部は真剣な目をした。
「ここでなきゃダメなんだ」

あれから約1年、卒論の発表会が開かれた。「白雪姫が食べた毒林檎の分析」や「サプライズの脅威」などの卒論が発表され、ついに橋部の番がきた。
「僕の研究テーマは『橋本教授の木曜日』です。約半年にわたり教授を観察してきましたが、1週間で特別面白いと思った木曜日に焦点を当てました。教授は木曜日の仕事終わりにある女性と落ち合い…」
その他
公開:20/01/08 16:17

みみ

むかし話、おとぎ話が小さい頃から大好きです。
誰かの目に留まるような物語が書けるように頑張ります!

コメントや☆をつけてくださる方、本当にありがとうございます。嬉しいなぁ、幸せだなぁと心から思いますm(_ _)m

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