おい
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最初にそいつを見かけた時は、まだ若かった。私もそうだが、視界に入る奴の雰囲気は、私と同じくらいの年頃に感じられた。
それは私にひどく近づくわけでもなく、遠くからこちらをうかがっているような、付かず離れずの距離感を保っていた。
ふだんは意識しないが、気がつくと視界に感じるような存在だった。具体的に目に見えるのではなく、あくまでもそこにいると感じるのだ。
とくに何かをしてくるでもなく、遠巻きな存在。気にしすぎてもストレスになるだけなので、できるだけ無視するようにしてきた。もちろん直接話しをしたことなどもない。
50歳を越えた頃から、そいつが距離を縮めてきた気がする。そして70を過ぎた頃、いよいよ身近に迫ってきていた。自分そっくりのそいつは、出会った時に比べて老けているように見えた。
ある日、私は意を決して話しかけた。
「おい、お前は誰なんだ!」
「わかっているだろう。老いだよ。」
それは私にひどく近づくわけでもなく、遠くからこちらをうかがっているような、付かず離れずの距離感を保っていた。
ふだんは意識しないが、気がつくと視界に感じるような存在だった。具体的に目に見えるのではなく、あくまでもそこにいると感じるのだ。
とくに何かをしてくるでもなく、遠巻きな存在。気にしすぎてもストレスになるだけなので、できるだけ無視するようにしてきた。もちろん直接話しをしたことなどもない。
50歳を越えた頃から、そいつが距離を縮めてきた気がする。そして70を過ぎた頃、いよいよ身近に迫ってきていた。自分そっくりのそいつは、出会った時に比べて老けているように見えた。
ある日、私は意を決して話しかけた。
「おい、お前は誰なんだ!」
「わかっているだろう。老いだよ。」
ファンタジー
公開:20/01/11 07:00
更新:20/01/10 11:27
更新:20/01/10 11:27
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老いは知らぬ間に
オオカミの自信作
武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。
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