凧揚げ名人？

「貸してくれ」
凧揚げしていると、見覚えのある爺さんに言われた
どこで会ったか思い出している間に、持ち手を奪われた
何をする

彼は凧を手繰り寄せ、糊かなにかを塗り、再び揚げた
何が始まるんだ

数分後
彼は糸を取り出し、持ち手に結んだ
そして反対の糸の先を掴み、持ち手を離す
凧はさらに高く揚がった

名人だ！

爺さんは糸に糸を結び、さらに高く上げた
50mは超えている
そしてさらに糸を…


日が暮れて来た
返してくれよ
高すぎて凧が見えないじゃないか

僕は諦めて帰った

十日後、彼はまだ凧を上げていた

そして一ヶ月
異変が起きた
爺さんが糸を巻き始めたのだ
「手伝え」
僕も必死で巻いた
三日後、やっと凧が見えて来た

ん
あれは

風船だ

点と点が繋がった
爺さんは半年前、僕が無くした風船をとってくれようとした人だった


「ありがとう」
「土星のリングに引っかかっとったわい」