続・お熱いのがお嫌い

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雪女は哀しかった。
初めて人に頼られたのが嬉しくて、願いどおり雪を降らせた。喜ぶ彼と話したかっただけなのに。

雪女は右手を鋭く斜めに振り下ろした。
柔らかなゲレンデが一瞬にしてぶあつい氷に変わる。
…いい気味。
涙を堪えて帰りかけ、ふと立ち止まった。
一回だけ…。
彼女は風に乗って頂上まで上り、そっと腰をおろした。えいっ!
「きゃーーーっ」
誰もいない氷のゲレンデを一気に滑り降りる。
ぼふっっ!
思いっきり雪に突っ込んだ。普通なら死んでるが、そこは雪女、平気の平左である。

たの、しい…♡

何度も滑り降りるうちに、彼女はうっすら汗ばみ始めた。
…汗!?やばっ、溶けちゃう!
慌てて雪の中にダイブする。ひんやり感が気持ちいい。
ああ、雪って冷たいのね…(←天然)
火照った体を冷やした雪女は、笑顔で住処へ帰っていった。

翌朝。
彼女は、氷雪界史上初めて風邪をひいたレアな雪女と評判になった。
ファンタジー
公開:20/01/09 19:09
前作の続編 併せてお読み頂けたら嬉しいです こういう女性、結構好きです

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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