お熱いのがお嫌い

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今年の異常な暖冬に、全国のスキー場経営者は、みな頭を抱えていた。雨乞いならぬ雪乞いをしても、降る気配すらない。そこである男が、伝説の雪女に願をかけた。
すると翌朝、男のスキー場にだけ新雪が降りつもっていた。上質のパウダースノーの評判を聞きつけ、客が殺到する。男は笑いが止まらなかった。

ある晩、男のロッジに一人の女が現れた。雪のような肌と長い黒髪。あたりに漂う氷のような冷気。
…ははあ、こいつは件の雪女だな。
雪を降らせてくれたのはありがたいが、昔話みたいに凍死させられるのはごめんだ…待てよ…。
男はもてなすフリをして暖房の温度を上げ、鍋料理や熱燗までふるまった。女は一口も手をつけず、氷の涙をこぼして帰っていった。まんまと女を追い返した男は、酒と料理を平らげ、高鼾で眠ってしまった。

翌朝、外に出た男は愕然とした。
美しかった雪原はカチカチに凍りつき、地獄の傾斜のアイスリンクと化していた。
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公開:20/01/07 18:16
雪女 孤独 偏見 ちょっと可哀想

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
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【近況】
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