三日坊主と召喚くじ(二十六)

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「お飲み物は如何なさいますか、ご主人様?」
「え、あ……お茶で」
「弘前一海、水なら井戸にありますよ」
「お構いなく。俺今飲めないんで」
「泰山府君様、晴人、そろそろ出してやっても……」
「護符が切れるまで死にませんから」
どうだろう、この待遇の差。俺は泰山府君と、本殿の座敷で供応。一海は簾を挟んだ縁側で休憩。晴人は光狛の座布団のまま、境内に埋没中。
元々俺(蘆屋道満)の式神だそうな光狛と闇狛が、俺を窺って首を垂れるが、晴人の上からは退かない。俺と彼女の力関係が如実に表れている。
「もう一回確認しますけど。本当に俺、蘆屋道満って術者の生まれ変わりで、前世はその…貴方の夫だった?」
「確かです。私が道満様を見誤るはずがありません」
笑顔は普通に可愛い。鬼でさえなければ、わりと俺のタイプだ。
「で、聞きにくいんですけど、安倍晴明は?」
「助平爺です」
「元夫だ」
そして、何だろうこの形容の差。
ファンタジー
公開:20/01/07 17:47

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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