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妹のサリが、僕が食事している目の前で金色の瞳を爛々と輝かせている。
僕は温かくて甘いそれを夢中で飲んだ。美味しい。力が体の底から漲ってくる。
「サリ、獲物の数をノートに書くんだ」
サリはノートを出すと『999』と書き込んだ。
「兄ちゃん、サリもお腹すいた」
「最後の獲物はサリにやる。あの娘にしよう」
サリは嬉しそうに頷いた。
僕らは物陰に身を潜めた。後ろにいるサリの息が僕の首筋にかかる。瞬間、鋭い痛みが首筋を刺した。やられた。サリが本能で僕の血をごくごくと飲む。
1000人獲物を狩れば故郷に帰れる。僕らの修行の旅が終わる。あと少しと気が急いて、サリに食事を与えるのを忘れていた。吸血されて、遠のいてゆく意識。あと少しでサリと故郷に帰れたのに。
「……ちゃんとノートに書くんだぞ」
「サリにもう命令しないで。兄ちゃん、ウザイ」
サリはノートをビリビリと破ると、僕を置いて夜の東京に消えていった。
僕は温かくて甘いそれを夢中で飲んだ。美味しい。力が体の底から漲ってくる。
「サリ、獲物の数をノートに書くんだ」
サリはノートを出すと『999』と書き込んだ。
「兄ちゃん、サリもお腹すいた」
「最後の獲物はサリにやる。あの娘にしよう」
サリは嬉しそうに頷いた。
僕らは物陰に身を潜めた。後ろにいるサリの息が僕の首筋にかかる。瞬間、鋭い痛みが首筋を刺した。やられた。サリが本能で僕の血をごくごくと飲む。
1000人獲物を狩れば故郷に帰れる。僕らの修行の旅が終わる。あと少しと気が急いて、サリに食事を与えるのを忘れていた。吸血されて、遠のいてゆく意識。あと少しでサリと故郷に帰れたのに。
「……ちゃんとノートに書くんだぞ」
「サリにもう命令しないで。兄ちゃん、ウザイ」
サリはノートをビリビリと破ると、僕を置いて夜の東京に消えていった。
その他
公開:20/01/07 14:43
みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
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