神からのお告げ

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 俺はサラリーマン生活に終止符を打ち、冒険家として生きると決意した。
 今、登山道具の点検を終え、退職願いを握る手は興奮で震えている。

 40歳を越え、会社ではそれなりに昇進し収入も安定している。妻は仕事と家事を両立して支えてくれているし、子供達は素直で何の文句もない。
 ハイキングの経験すらない私が安定した生活を捨て、収入が見込めず命の危険すらある冒険家になることに理解を得るのは難しいだろう。
 しかし理屈ではない。普段は全く夢を見ない俺が最近は草木の茂るジャングルを突き進んだり、深海の底を探査したりして、薔薇色の楽園に辿り着く等、様々に内容の変わる夢を立て続けに見た事はきっと神からのお告げなのだ!
 今日からは現実に俺の冒険が始まる。妻へ告白の言葉を探していた時、彼女の方から告げられた。
「最近、あなたの枕が匂うから色んな香りを枕に吹き付けておいたんだけどどうだった?」
 おぉ神よ!
SF
公開:20/01/08 05:58
更新:20/05/28 23:40

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

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