三日坊主と召喚くじ(三十)

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「光狛!闇狛!」
「弾かれただけです。大丈夫」
言葉と裏腹に、泰山府君の声は震えた。
「来イ!出テ来イィ!!今度コソモノ二シテヤル!!」
「……私のせいです。私が、貴方に逢いたくて、それで……」
正気を失った晴人が外道過ぎな状況を差っ引いても、俺には彼女が普通の女の子に見えた。地獄の鬼嫁でも、命と運の神でもなく、ごく普通で、すごく可愛い女の子にしか見えなかった。

『大丈夫。落ち着いて』

「泰ちゃん、でいいかな。バトル中、俺に声掛けてくれた?」
「何があっても、力は貸すなと仰った。……それしか出来ませんから」
前世の出来事を、俺は全く思い出せない。あの時の力が、道満のものか、俺の意志かも判らない。
でも、それで良いと思った。

「居タ・居タ・居タ!俺様ノモノ!――管狐、縛!!」
晴人のタブレットから無数の触手が溢れ、狐憑きの鎌首が奔る。
「――解!」
タブレットに亀裂が入り、火を噴いた。
ファンタジー
公開:20/01/08 00:45

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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