三日坊主と召喚くじ(二十九)

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「貪狼・巨門・禄存・文曲・廉貞・武曲・破軍」
低い呟きが境内を流れ、桃色気味だった空気が重くなる。
泰山府君が、縁側の一海が身構える。
「今の声……晴人?」
「泰ちゃん。晴人も前世が晴明なんてオチ、ねぇよな」
「ありません。あの爺は天寿を全うした後、冥府に封印されました。転生させては地上の迷惑です」
光狛・闇狛が毛を逆立て唸る。夜空に無数の星が瞬き、昼の様に明るい。
「天枢天璇天璣天権、玉衡開陽揺光、七曜天剣――墜!」
北斗七星が捻じ曲がり、逆さに尖って――


轟!!!
隕石の刃が境内を貫く。熱風が巻き地面が割れ、本堂の扉と屋根が吹っ飛んだ。
「だったらありゃ何だ」
「ここは意志が総てを定める『場』。振り切れてしまったとしか……」
「計都・羅睺」
「……光狛!闇狛!」
泰山府君が喚び返すより一瞬早く、赤と青の星が直撃。白黒の光がぱっと散った。
「……ダ。俺様ノ女ダ。誰ニモ渡サナイ!!」
ファンタジー
公開:20/01/08 00:39
更新:20/01/08 18:05

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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