猫と煙

『なぁ…今日は生贄の日だよな』
「はい。化け猫様。こちらが今回の生贄でございます」
『いやいやいや。生贄と言ったら普通、人間だろう？それも相場は女子供。百歩譲っても老人…今までそうだったよな？』
「いえいえ化け猫様。そのような常識に捕らわれてはいけません。そんな事を言ってしまえば、化け猫様だって常識外れではないですか」
『それもそうだが…それにしたって生贄が生魚はないだろう』
「釣って来たばかりですし、新鮮ですよ？」
『それにしても、だ。もしかしてバカにしてる？』
「いえいえ滅相もない。こちらの魚。まずは刺身でご賞味ください」
『…意外とイケるな』
「こちらもどうぞ。燻してタタキにしてみました」
『こりゃたまらん！煙が効いていて最高だ！酒が飲みたくなる！』
「生よし煮てよし焼いてよし。魚、どうでしょう？魚であれば、これからは毎週お届けに上がります」
『これからは魚で頼む』
「承知しました」