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亡くなった夫の部屋を掃除していると、机の下の奥に光る物を見つけた。
せんべい缶のような、正方形のアルミ缶。開けると中には沢山の白い封筒が入っていた。不思議なことにどれにも切手が貼られていない。恐る恐る封筒の中の手紙を読んだ。
『親愛なる麗花』私は驚いた。今は亡き夫の声が、聞こえる。私への手紙。
夫の声は続く。
『君がこれを読んでいる頃には僕はこの世に居ないでしょうね。僕は余命を聞かされてから、君に毎日手紙を書こうと決めたんだ。僕の声を手紙に閉じ込めてと神様にお願いしたよ。聞こえるかい?ー』
夫は私への日々の感謝を綴り、時には好きな音楽の歌詞をならべ、最後には必ず『愛してるよ』の文字。
私には貴方の声が聞こえるわ。貴方の好きな音楽も、貴方の愛してるの言葉も。
夫は声帯に癌が出来て、声が出せなくなっていた。
でも今は聞こえるの。
貴方が聞こえるわ。
ありがとう。
私も愛してるわ。
せんべい缶のような、正方形のアルミ缶。開けると中には沢山の白い封筒が入っていた。不思議なことにどれにも切手が貼られていない。恐る恐る封筒の中の手紙を読んだ。
『親愛なる麗花』私は驚いた。今は亡き夫の声が、聞こえる。私への手紙。
夫の声は続く。
『君がこれを読んでいる頃には僕はこの世に居ないでしょうね。僕は余命を聞かされてから、君に毎日手紙を書こうと決めたんだ。僕の声を手紙に閉じ込めてと神様にお願いしたよ。聞こえるかい?ー』
夫は私への日々の感謝を綴り、時には好きな音楽の歌詞をならべ、最後には必ず『愛してるよ』の文字。
私には貴方の声が聞こえるわ。貴方の好きな音楽も、貴方の愛してるの言葉も。
夫は声帯に癌が出来て、声が出せなくなっていた。
でも今は聞こえるの。
貴方が聞こえるわ。
ありがとう。
私も愛してるわ。
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公開:20/01/05 16:42
夜野 るこ と申します。
(よるの)
皆さんの心に残るようなお話を書くことが目標です。よろしくお願いします。
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