15
12
雨が嫌いだった。
高校の卒業式。ずっと好きだったあの子に、桜の木の下で告白する決心は、雨と共に流れた。
社会人になった今でも奴は、ここぞというタイミングで、いつもやってくる。
そう、この日も。
「おい、予報は0%だったじゃねえかよ…」
会社の入り口でボソッと漏らす。その独り言を雨音がかき消す。
駅までは徒歩五分。タクシーに乗るのはもったいない。
よし、走るか。
僕は勢いよく駆け出した。
しかし、日頃の運動不足から、ふくらはぎが急な収縮にびっくりしたのだろう。
「ああっ!」
派手に転んだ。変な声も出してしまった。周りに人もいたから、すごく恥ずかしい。顔を上げられない。
火照った顔に雨滴が垂れる。少し気持ち良いと感じた。
あれ…?
上からアイツを感じない。止んでないのに。
「大丈夫、ですか?」
透き通った聞き覚えのある女性の声だった。
桜の木の下ではなく、まさか、傘の下で再会できるなんて…
高校の卒業式。ずっと好きだったあの子に、桜の木の下で告白する決心は、雨と共に流れた。
社会人になった今でも奴は、ここぞというタイミングで、いつもやってくる。
そう、この日も。
「おい、予報は0%だったじゃねえかよ…」
会社の入り口でボソッと漏らす。その独り言を雨音がかき消す。
駅までは徒歩五分。タクシーに乗るのはもったいない。
よし、走るか。
僕は勢いよく駆け出した。
しかし、日頃の運動不足から、ふくらはぎが急な収縮にびっくりしたのだろう。
「ああっ!」
派手に転んだ。変な声も出してしまった。周りに人もいたから、すごく恥ずかしい。顔を上げられない。
火照った顔に雨滴が垂れる。少し気持ち良いと感じた。
あれ…?
上からアイツを感じない。止んでないのに。
「大丈夫、ですか?」
透き通った聞き覚えのある女性の声だった。
桜の木の下ではなく、まさか、傘の下で再会できるなんて…
恋愛
公開:20/01/06 23:14
更新:20/01/06 23:25
更新:20/01/06 23:25
初めまして。七尾瞬と申します。
小説を読むのも書くのも好きで、今回、ショートショートに挑戦したいと思い、登録しました!
400字という限られた文字数の中でどれだけ表現出来るか不安もありますが、頑張りますので宜しくお願いします!
ログインするとコメントを投稿できます