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暗い部屋の四隅で松明が揺れていた。床に大きな魔法陣が描かれ、その中央に僕はいた。
「成功だ」
黒いローブを着た老人が僕を見つめていた。ここは何処だ。そしてこの人は誰だ。もしかして、これが最近流行りの異世界転生というやつか。
「どうか我々にお力を」
言葉がわかるのもお約束だ。僕は勇者なのか。
「ドラゴンよ、どうか勇者を倒してください」
「え、勇者を倒す側? ちょ、ドラゴンって僕が?」
「ええ。その黄金色の凶暴な瞳、光を砕く獰猛な牙、鋼を弾く頑丈な鱗。あなたこそ伝説のドラゴン」
待て待て。僕はトラックに轢かれてないし、誰かに殺されてもない。ということは、これは異世界転生ではなく、異世界召喚。だとすれば体は同じはず…。
「しかし、翼が見当たりませんな。召喚の際になくされたか。いやいや、体にしまわれているのですな。自慢の翼を見せてください」
「ごめんなさい。僕、ドラゴンじゃなくて、ワニなんです」
「成功だ」
黒いローブを着た老人が僕を見つめていた。ここは何処だ。そしてこの人は誰だ。もしかして、これが最近流行りの異世界転生というやつか。
「どうか我々にお力を」
言葉がわかるのもお約束だ。僕は勇者なのか。
「ドラゴンよ、どうか勇者を倒してください」
「え、勇者を倒す側? ちょ、ドラゴンって僕が?」
「ええ。その黄金色の凶暴な瞳、光を砕く獰猛な牙、鋼を弾く頑丈な鱗。あなたこそ伝説のドラゴン」
待て待て。僕はトラックに轢かれてないし、誰かに殺されてもない。ということは、これは異世界転生ではなく、異世界召喚。だとすれば体は同じはず…。
「しかし、翼が見当たりませんな。召喚の際になくされたか。いやいや、体にしまわれているのですな。自慢の翼を見せてください」
「ごめんなさい。僕、ドラゴンじゃなくて、ワニなんです」
ファンタジー
公開:20/01/06 22:02
更新:20/01/06 22:55
更新:20/01/06 22:55
なろう系ショートショート
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
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