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死に場所を求め山を彷徨っていると目の前に山猫軒が建っていた。
丁度いい…私は店に入ると全ての注文に応え、奥に進んでいく。

そんな私の前に今、美味しそうな料理が並んでいる。
「どうした?食わんのか?」
山猫軒の主が私に聞いてくる。てっきり私が食べられるものとばかり思っていた。
主は鼻を鳴らすと「骨と皮ばかりの女を食っても美味くない。もっと太れ」なんて言ってきた。女性に何て言い草だ。
私はモデルだ。痩せていて当然。それを否定されて、悔しくて涙が出た。
美味しそうな料理に手を伸ばす。煙を上げる豚肉に齧り付いた。こんなに美味しい料理はいつぶりだろう?食事に幸せを感じたのはいつぶりだろう?
満腹になった私は自殺する理由も忘れていた。そして胸の内に新たな思いが燻っていた。

数日後、テレビに出た私は得意料理で豚の丸焼きを作った。
私は可愛い子猫ちゃんではなく、山猫軒の主の様な強い存在になると決めた。
ファンタジー
公開:20/01/06 18:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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