その逃げ足は天馬の如く

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その昔、とある泉にペガサスが舞い降り水浴びを行っていた。それを見ていた男は、泉のほとりにあったペガサスの翼を密かに隠してしまった。
翼を隠されたペガサスは天に戻ることが出来なかった。男はペガサスに近づき声をかけた。
「競走馬としてデビューしないか」
男は競走馬を育てる牧場の主だった。
「競走馬になりますから翼を返してください」
「返したらすぐに逃げるつもりだな」
と男は翼を返さなかった。
競走馬となったペガサスは新馬戦から3勝してダービーに出走した。
しかしあえなく9着。
連敗するペガサスの「翼があれば負けません」という言葉に負けて、男はついに翼を返した。
そこからのペガサスは連戦連勝。
宝塚記念で念願のGⅠ初勝利。
迎えた天皇賞秋。
3コーナーで10馬身以上の差をつけたペガサスは突如翼を広げると、透明な姿となって天へ翔けた。

抜け殻の馬体と、サイレンススズカと書かれたゼッケンを残して。
ファンタジー
公開:20/01/04 16:43

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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