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先輩の右足の怪我は全治3ヶ月。大会の出場は絶望的で、マネージャーの私は何をしたらいいのかわからなかった。
そんな昼休み。カバンの中に文房具屋さんから貰った折り紙を見つけた。
パッケージには折り紙じゃなくて祈り紙と書いてあった。
誤植なのかな?
私は紙を一枚取り出し、何気なく鶴を折り始めた。
先輩に千羽鶴を贈るのもいいかも。
大好きな先輩の怪我が治りますように。
私の気持ち、いつか届くといいな。
なんて考えてるうちに鶴が完成した。
机に置いてしばらく眺めていると、折り鶴が翼をパタパタと動かして飛び立ってしまった。
「えーっ!」
教室を抜け出した鶴を追いかけて廊下を走った。
スイーっと飛んだ鶴は、偶然廊下にいた先輩の足にコツンと当たった。
先輩が折り鶴を拾い上げて顔を上げた。私に気づいた先輩の頬がみるみる紅潮した。
私は折り鶴が先輩に私の気持ちを伝えてしまった気がして、顔を真っ赤にして俯いた。
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公開:20/01/04 00:43

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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