チャンスの神様

「このハゲぇーーー！！！」

そう言って彼女は私を追い出した。たしかに私は頭頂部から後頭部にかけて毛がないから、そう呼ばれても仕方ないかもしれない。

しかし、ものには言い方ってものがあるだろう。何かに怒っていたとはいえ、そういう罵倒はよくないと思う。

受けたものはしっかりと返すのが私の主義だ。これからの彼女は大切なものを失っていくだろう。私は貧乏神ではないが、ツキを無くし運を落とす力があることを彼女は知らなかったのだろう。

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チャンスの神は前髪だけがあるという。それをうまくつかめれば、運が向くともいわれている。足が速いらしいからつかむのはそれこそ運次第。
しかし、つかみそこなった上に罵倒までしてしまうと、逆に恨みを買い不幸がもたらされることを知るものは少ない。

つかみそこねたチャンスを恨んだりけなしたりするのはやめた方がいい。ただただ次のチャンスを待てばいいだけのことなのだ。