戦地からの手紙

私はこれから彼と「20世紀の戦争展」を見に行く。

「20世紀の戦争展」では各国の軍の写真だけではなく、一般庶民の生活が分かる写真も展示してある。
その中で彼の目に留まったのは、第一次世界大戦で徴兵についた青年が書いた手紙だった。

「愛するロッテへ
第一次世界大戦は想像以上にひどい状況だ。正直、生きて帰れるか分からない。もし僕が無事に生きて帰ってきたら結婚して欲しい」

この手紙を読んで、私は青年が生きて帰りロッテさんと結婚できたらいいなと思った。
彼を見ると係りの人を呼び「この手紙は偽物ですね。」と言った。
係りの人は驚き「何でですか？」と訊いた。

彼は「なぜ『第一次世界大戦』と言うのか、それは第二次世界大戦があるからです。
第一次世界大戦当時は第二次世界大戦があるなんて知らなかった。
この手紙を書けるのは、世界大戦が２回あったことを知る人物だけです」
と言った。