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 戦いの終わったことを知らないまま、ずっと山奥に隠れ続けている男がいた。村人はその男をいつしか「山の神」と崇めて祠を建て、現在もお供えを欠かさない。お供えは、翌日には空になっており、代わりに上質な炭や、サルノコシカケなどがおいてある。その戦いとは、応仁の乱のことだ、と古文書には書かれている。すると600歳近いという計算になる。
 村人はその真偽を確かめようとはしない。神は村人もめったにいかないような山奥の水源を護り、山火事を食い止め、木々の生長や動物たちの生活の手助けをしてくれる有難い存在だからだ。
 だが、現代ジャーナリズムは、そういう類の伝承を消費せずにはおれない。
 TV局は村人の反対を無視して山狩りを行い、村の古文書にある通りの身体的特徴を持つ男の撮影に成功した。伝説の男として、その映像は広く拡散された。
 しばらして、その男の遺体が川に流れ着き、水源は枯れた。死因は老衰だった。
ホラー
公開:20/01/05 09:42
更新:20/01/05 13:25
シリーズ「の男」 プロット2

新出既出20( 浜松市 )

新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。

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