書獅子舞

8
12

もう、書くのは終わりにしよう。

だから僕は書獅子舞を呼んだ。書獅子舞はテーブルにちょこんと座っている。

書獅子舞は書き仕舞い、つまり断筆をする際に呼ばれる縁起物の動物だ。今まで書いたものを書獅子舞に食べさせて消化させる事で、そこに込めた思いを昇華してくれる。

僕は自分の作品を書獅子舞の前に置いた。最初は母の日を書いた作品だったな。気がつけば500作品以上。書獅子舞は僕の作品を美味しそうに食べ始めた。僕の想いが次々と消化されていく。500、100、10、、、3、2

突然リビングが大きく揺れた。慌てて外へ飛び出すと、空を覆い尽くすような大きさの書獅子舞がこの世界を食べようと口を開けていた。

僕は巨大書獅子舞に叫んだ。

「僕にはやりたい事がある!この世界が例え作り話でも、消えてしまったら困るんだ。だからこのお話だけは食べないでくれ!」

書獅子舞は応えた。

「しょうか」
その他
公開:20/01/04 19:29
壬生乃サルさん休止に寄せて またお話待ってます サルさん風ラストにしたつもり

たらはかに( 日本 )

たらはかに

https://twitter.com/tarahakani
猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容