猫と煙

地を這う無数のパイプが蒸気を噴き上げる。
天を貫く煙突は今日も黒煙を吐き散らし、空を黒に染め上げる。
道行く人は薄汚れた灰色の作業着に身を包み、作業に没頭する。
工業技術の発展とそれによる産業が確立されたこの土地では労働者が寝る間も惜しんで仕事に励む。
しかしその瞳に生気はない。この地で生きていくには働き続ける他ないのだ。
過労により倒れる者がいる。それでも労働者は働き続ける。
雇い主達はそんな労働者をネズミと呼んだ。寝ずに身を粉にして働く姿を揶揄したものだ。
そんなネズミを管理する側から雇い主は自らを猫と呼ぶ。今日も工場内では猫の目のようなサーチライトが労働者を照らし続ける。
そんな労働者を救う為に活動するのが我々・ネコである。
猫は寝る子。我々は労働者に適度な休みを与える為に行動する。
その為にはどうするかって？猫のフリしてふんぞり返っているドブネズミをネコとして狩り立ててやるんだ。