翼をください

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朝、目覚めると体に翼が生えていた。
そういえば夢の中で神様に「翼がほしい」と願った気がする。何でも願いを叶えてやると言われて、「翼をください」を熱唱したのがいけなかった。しかもこれは天使の翼ではない。旅客機の翼だ。お腹の左右からシャキーンと銀翼が生えている。
試しに飛べるのかと念じてみるとジェットエンジンが起動した。轟音を響かせて緊急発進した私は部屋の天井を突き破り大空に放り出された。
慌てて態勢を整えて上空から穴の空いた我が家を見下ろす。大変だ。そして寒い。1月の朝にパジャマで空にいるのだから当然だ。
神様ごめんなさい。
翼はいりません。元の体に戻してください。
そう願ったとたん、私の体から翼が消失し、屋根の穴に落下した。

ドシン!

ベッドから落ちて目を覚ます。
ひどい初夢だった。
私はブルブルと体を震わせて布団に潜りこんだ。

次に目覚めたら天井の穴が戻っていますようにと願って…。
ファンタジー
公開:20/01/02 13:26
更新:20/01/02 18:04

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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