羊の向こう側

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私は布団の中で羊を数えていた。なかなか眠れず何時間も数え続けていると、そのうちに羊の列が途切れた。最後の一頭がこちらを見ながら、「私で最後です。羊はもういません」と言った。そしてどこかへ行ってしまった。

周囲には誰もいなくなった。しばらくすると一人の男が現れた。

「おめでとうございます。ここは羊を最後まで数えた人間だけが来られる世界。どうぞお楽しみください」

男はそう言って私を大きな門の前に連れていった。そこに一人の女がいた。女は書類を見ながら、「あなたは途中で三回ほど数え間違いをしました。残念ですがお通しすることはできません」と言った。

「これは失礼、ちょっとしたミスがあったようです。しかしご安心を。羊を最後まで数えればいつでも来られますので」

私を連れてきた男がそう言うや否や、男も女も門も消えてしまった。

周囲には誰もいなくなった。しばらくするとまた羊の群れがやってきた。
ファンタジー
公開:20/01/02 03:20
更新:20/01/05 17:35

meerkat( 石や岩の多い荒地やサバンナ )

シュール・不条理・ナンセンス

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