日の出餅

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午前5時半。年が明けたそのままの勢いで、ずっと起き続けていた僕に、友人から連絡があった。
「あけおめー。今日このあと俺のマンションで、みんなで雑煮食べるんだけどどう?」
このまま寝てしまうのも惜しいと思っていたので、向かうことにする。彼のマンションは徒歩圏内にある。
街は静かで空気が冷たい。まだ陽は昇っていない。
「あけおめー」
「おう、おめでとう」
部屋につくと雑煮はすでに用意されていた。みんなそれぞれ駄弁りながら、器に盛られたそれを口に運ぶ。
ん? その光景に違和感を覚える。
餅を食べたメンバーの頬がほんのり光を放っている。
「この雑煮に使ってる餅、日の出餅って言うんだ」
噛めば噛むほど、日の出の光のようにじんわりと輝くのだそうだ。
僕はその暖かさでいつの間にか眠ってしまっていた。
目を覚ましたときには本物の初日の出は見逃していた。けれどなぜか心地いい目覚めだった。
ファンタジー
公開:20/01/01 22:59

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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