夢のボーナス

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夏のボーナスは5g(グラム)だった。

つまり五万円だ。この不景気で、会社のボーナスがグラム制になったのだ。能力に応じてグラム数が決まるらしいが、それが本当なのかどうかも怪しい。そもそもグラム制なんておかしいだろ。しかし、会社の業績は下降し続けているわけで、いただけるだけでもありがたい。そう考えることにした。

だが、冬のボーナスはついに現物支給になってしまった。
「諸君。すまん。ボーナスは、これで許してくれ」と社長は頭を下げて、なにやら薄っぺらな封筒を社員に渡した。
同僚たちは封筒の中身を見て呆れていた。俺も一瞬、夢を見ているのではないかと、目を疑った。
「ばかばかしい……」

おれは、ついに会社を辞めた。
もう働くこと自体がばかばかしくなった。でも社長には、すごく感謝している。いやむしろ神だろ。

あのボーナスが10Kgになったのだ。
宝くじ1等〈1億円〉に当選したのである。
その他
公開:20/01/03 19:56
スクー 5Gボーナス

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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