鏡もチー

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―鏡餅が欠けてるの。
―もう、ひび割れたのか。
―ひびじゃなくて、齧られたみたいに。
床の間を灯して屈み込むと、下の大きい餅の後ろが僅かに欠けている。ねずみだろうか。うちは古いことは古い。
―害獣駆除って、三日からやってたっけ。
―やだー新年早々。じゃ、私の黒豆マスカルポーネの残り食べたのも?あなただと思ってたのに。
それは俺と言いそうになって、踏みとどまる。

パソコンで検索しようとすると、マウスの真ん中がやけに点滅している。ふれると、何だか熱い。裏返すと、鼻先のこれは?白い物がついている。
画面を見ると、こんなページが目に入った。

鏡餅とは餅を神仏に供える正月飾りである。穀物神である年神への供え物であり、年神の依り代である。…昔の鏡の形に似ているため、こう呼ばれる。昔の鏡は青銅製の丸形で、神事などに用いられていた。

その夜から、うちでは和室への障子を少しだけ開けておいている。
その他
公開:20/01/03 17:00
新年 正月 鏡餅 ねずみ年 大黒天の神使は「鼠」

こぶみかん( 関西 )

ssの庭に迷い込んだこぶみかん。数々のお話の面白さに魅せられ、通い始めた。
気が付いたら、庭の片隅に挿し穂されていた。
いつか実を結ぶまでじっくり育つといいね。

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