ドリフの市役所の歌

行きつけのバー「つんでれ」で、シナリオ作家の堤さんは、知人のミチさんに愚痴をこぼしていた。

「近頃、作品のアイデアが浮かばなくてねぇ」と悩む彼に、ミチさんは言う。
「昔のギャグ番組とか、見ると参考になるわよ」
「昔の？」
「そう。ドリフとかね」

彼女は、思い出しながら続けた。
「子どもの頃に見たドリフのギャグで、強烈なのがあって、今でも覚えているの」
それは、ドリフターズの面々が、「市役所の職員」に扮して、朝礼の歌を合唱するものだ。

それは、こんな歌詞だった。

♪神様、神様、お願いよ
♪市民の柱に　なりたいの
♪柱がダメなら　割り箸よ
♪割り箸ダメなら　爪楊枝（つまようじ）
♪つまはよじごろ　何してる
♪あら　浮気だよ

「これが、市役所の歌？」　黙って聴いていた堤さんは、目を丸くした。
「こういう歌を聴いて育った子どもが、今の君なのか。うん、それ、納得だよ」