阿吽の嘆息

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「また誰か来るね、右近」
「そうだね、左近」
「どっちか賭けるか」
「どうせまた間違い、賭けにならないよ」
案の定、階段を登って来た4人組はがっかりした様子で踵を返し、来た階段を降って行く。
「あんな露骨にがっかりしなくてもいいのに」
「全くだよね」
がっかりされた事にがっかりして、片方は「はぁ」もう一方は「むふぅ」と同時に嘆息する。

しばらく後、来訪者の気配を感じて右近、左近が反応する。
「あれ、この気配は」
「ウカノミタマ様だ」
2匹は『奉』と彫られた石の台座から飛び降りると、おわします女神の元まで行き、嬉しそうに足元をクルクル駆け回る。
「拒魔の務め御苦労、40年物じゃ、よく味わえ」
宇迦之御魂神は、何処からかいなり寿司を出して2匹の狐を労う。

そう、ここは伏見稲荷大社(FUSHIMI-INARI-Shrine)に非ず、節目稲荷神社(FUSHIME-INARI-Shrine)也。
ファンタジー
公開:19/12/31 18:39
節目 拒魔=狛犬の由来の一説

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