駅ロッカー・駅ノート

　この駅にも、誰でも利用できるコインロッカーがある

　鍵の番号を見ながらロッカーを探す男性。29歳（無職）
「荷物の受け渡しに使うんだ。次はどこの駅にいけば受け取れるんだろうって、いつもワクワクするよ」
　彼は荷物の転売で生計を立てている。
「コインロッカーが僕の支えさ」

　コインロッカーへチェロケースを入れた男性。35歳（アルバイト）
「これが収まるコインロッカーは少ないね。でも持ち歩くわけにもいかないよ。重たいし、目立っちゃうから」
　中には、拾い集めた石が入っているという。
「理由？　コインロッカーはそんな質問をしないから、かな」

　50年前、ここで嬰児が亡くなった。以来、そのロッカーからは鍵が外され「駅ノート」が置かれている。

　深夜。常連が駅ノートを読みにくる。
「見つけたよ」
　ずっとママを探していたのだそうだ。

　駅ロッカーには、今日も人々の重荷と想いとが託される。