チューチュートレイン

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大晦日が過ぎて年が明けた。
天空行きターミナルステーションでは、ネズミ講株式会社のチューチュートレインが先発だ。次発がドッグラン株式会社のワンワントレインだからキャット静電気軌道株式会社のニャーニャートレインに追いかけ回される心配もない。
チューチュートレインの乗客は、ネズミをはじめ冬の妖精たちや『ガリバー旅行記』にも登場する小人の国「リリパット」の一行だ。
信号機の合図とともに「チュー!」と汽笛を鳴らし、ミニサイズの列車が動き出した。新年の特別コースとなっており、一等星のシリウス、プロキオン、ベテルギウスを結ぶ「冬の大三角」、その後シリウスを経由してリゲル、アルデバラン、カペラ、ポルックス、プロキオンに至る「冬のダイヤモンド」を周遊する路線だ。
車内では、車掌のアナウンスが入った。
「皆様、ご乗車ありがとうございまチュー。二〇二〇年は、われわれネズミの年でチュー。ハッピーニューイヤー!」
ファンタジー
公開:20/01/01 00:00
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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