スクラップアンドビルド

　繰り返される。半強制的に朝を知らせる電子音も、あのニュースキャスターの声も、滑りが悪いふすまとの格闘も、すべてが懲りずに繰り返される。そんな日常が私に定着してくると、目覚ましのような声が、私を起こすのだ。
「いつまでそうしてるの？」
　その言葉は、私の中の見えない爆破スイッチが突如作動させ、繰り返されていた私の日常をことごとく否定するかのように壊していく。毎日のように聴いていた音楽も、読み飽きた本も、見飽きたムービーも、今までこだわってきたもの、自分を縛り付けていたものが、一気に、いとも容易く崩れていく。なにもかもが、どうでもいい。
　しかし壊れることは、壊すことは終わりではない。壊すことは、節目をつけることである。壊すことで、次の段階へ進むことができる。壊すことで、新しい何かをつくりだせる。