節合わせ

世界は帳尻が合う様に出来ている。
東で初子の産声が上がれば、西で老父の吐息が途絶え、北が寒波に凍える時、半球の南は炎熱に喘ぐ。目覚めた太陽は背中合わせの月と手を繋ぎ、海の底に零れた真珠が、天上遥か星と流れる。
世界は辻褄が合う様に出来ている。
アウシュビッツの少女の血が、地雷原のデザートローズを潤す様に、ビキニ環礁の死の灰が、億千年紀の地層を育てる様に、スペースデブリと隕石のサバトが、いつかのいつか、第二の仮想地球を創る様に。
世界は那由多の塵芥で出来ている。

君が呟いた一片が、明日僕の背に羽を開く様に、僕の書き散らすタワゴトが、今日の君の笑顔になれば良いと思う。

もしもあと一分だけ、その耳を傾けてくれたなら。存在しなかったsomethingの誰も知らないパスコードを開いて、１/３６５の息絶える瞬間を並んで迎えよう。

今この世界は、不可思議の不幸せと無量大数の幸せで出来ている。