雨の中の節目
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娘の同級生が事故で亡くなった。
アスレチック遊具で遊んでいたところ、不幸にも足を滑らせ頭を強く打ってしまったらしい。
「パパ、泣いてたね」
葬儀を終えて駐車場に戻る途中、娘が私に話しかけた。私は葬儀の最中、遺族の悲しみに同調して号泣していた。
「辛かったから」
「パパが泣いてるところ初めて見た」
「…そうかもな」
「…私は泣けなかった。皆、泣いてたのに。あと、少しだったけど」
泣けないことへの罪悪感が娘を包んでいたかもしれない。
私は娘の肩を抱き、
「大丈夫。心配いらない」
とだけ伝えた。
ぽつんと頬に雫がつたった。雨が降ってきた。まだ小雨だったので傘を娘に預け、私は濡れて先を歩こうとした。
「お父さんは傘に入らないの?」
パパではなくお父さん。
呼び方が変わっただけだ。
しかし、振り返ると不安げに私を見つめる娘の顔はほんの少し大人びて見えた。
アスレチック遊具で遊んでいたところ、不幸にも足を滑らせ頭を強く打ってしまったらしい。
「パパ、泣いてたね」
葬儀を終えて駐車場に戻る途中、娘が私に話しかけた。私は葬儀の最中、遺族の悲しみに同調して号泣していた。
「辛かったから」
「パパが泣いてるところ初めて見た」
「…そうかもな」
「…私は泣けなかった。皆、泣いてたのに。あと、少しだったけど」
泣けないことへの罪悪感が娘を包んでいたかもしれない。
私は娘の肩を抱き、
「大丈夫。心配いらない」
とだけ伝えた。
ぽつんと頬に雫がつたった。雨が降ってきた。まだ小雨だったので傘を娘に預け、私は濡れて先を歩こうとした。
「お父さんは傘に入らないの?」
パパではなくお父さん。
呼び方が変わっただけだ。
しかし、振り返ると不安げに私を見つめる娘の顔はほんの少し大人びて見えた。
その他
公開:19/12/31 23:20
更新:19/12/31 23:25
更新:19/12/31 23:25
節目
涙くんはいらない
続
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
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