また逢う日を楽しみに

「単身お任せプランの説明は以上になります。何かお持ちになられたい物はございますか」
説明の間中ずっと微笑みながら聞いてくれていた表情が初めて変わった。
「たくさんや現金等は無理ですが」
「…じゃあ、このネリネの花を」
「ネリネの花、ですか？」
どこかで聞いた様な…
「このお花。ふふっ、ちゃんとお願い聞いてくれたのね。嬉しい」
「お好きなんですか？」
「えぇ。だから、ネリネを大好きな記憶を持って行けるかしら？」
やっぱり以前に同じ様な…
「あら…ダメかしら」
「失礼しました。大丈夫です」
「そぅ？難しいお顔されてたけど…」
「いえ。以前に男性で同じ様なご希望の方がいて、少し驚いてしまって」
「もしかして背が高い眼鏡の？」
「…あぁ！確か」
「多分、主人よ。約束、覚えてくれてたのねぇ。嬉しいわ」
「約束？」
「また逢う目印にって。花言葉に因んでね。ありがとう。行ってくるわ」
はい。お気をつけて