竹髪

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「髪切って」と、彼女に頼まれた。

人の髪、ましてや女性の髪なんて!
緊張して仕方ない。
手が震えて頭を傷つけても困るし。

ねえ、早く。

僕は恐る恐る、ちょきんとハサミを入れた。だけど、そこじゃないと彼女が怒る。

節があるでしょ?そこで切るの!

言われてみてみると、どうだろう。彼女の髪は竹になっていた。

一番下の節を切ってね。
そう言われたけど、最早ハサミじゃ切れない。ノコギリを持ってくる。

ギコギコ、ぷつん。

すると、パカン!切った竹筒から思い出が飛び出してきた。僕と彼女の出会い。

2本目は初めてのデート、3本目、初めての記念日…

そして最後の節、今日のランチ。僕の誕生日。

あーすっきりした。晴れやかな彼女。いつの間にか竹は髪の毛に戻っている。

じゃ、別れましょ。

…へ? この流れで!?

普通は失恋した方が髪を切るものだと思ってたが、彼女の場合は違うらしい…。
公開:19/12/30 21:41
節目

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

104.がおー

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