浦島太郎・外伝

10
7

助けたカメに連れられて、竜宮城にやってきた、浦島太郎。幸せな日々を送っていたが、彼はある日、乙姫様に尋ねてみた。
「乙姫様、この竜宮城は海の底にあるのに、なぜ私たちは溺れないのですか」

姫は「遂に聞かれたか」という顔をして、ふところから小さな石を取り出した。
「それはこの石の力です。これは“水泡石”といって、水の中に大きな空気の泡を作ります。この竜宮城は、半径一里の大きな泡の中に存在しているのです」
「なんと!空気の泡を?この石が?」

姫はうなずいて、側にいるカメを指さした。「貴方を浜辺から、ここに乗せてきたカメも、小さな水泡石を口にくわえていました」
それで太郎は溺れずにここに来れたのだった。

さて、三年が過ぎた。太郎は別れの土産に、玉手箱でなく、一つの水泡石を頂いた。
そして、この世界に戻った彼は「水潜りの達人」として引っ張りだこ。やがて巨万の財を築いたとさ。メデタシ、メデタシ。
ファンタジー
公開:19/12/30 20:39
更新:20/01/02 12:08
商売上手の太郎

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容