天気の女子

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晴れ女はグラスを傾けた。
「いつも晴れだからさ、日焼けが嫌で部屋デートばかり。レイはいつも相合い傘?ラブラブね」
雨女は首を振った。
「肩濡れるし、辛いわよ」
雪女はビールを飲み干した。
「いいじゃない彼氏がいるだけ。私なんか男が凍ってばかり」
晴れ女と雨女はまたかと顔を見合わせた。
「ほ、ほら、あの人は?ビックフットとかいう」
「毛深いの嫌い」
雪女はまくし立てた。
「私だって自分磨きしてるよ。若い時はイケメン好きのミーハーな"にわか雪女"だったけど、花を目指して"ぼたん雪女"になったら重いって。整形して人工雪女になればいいの?」
周囲は吹雪き始めた。慌てて晴れ女は雪女の肩を叩いた。
「ユッキー!今日友達呼んだの」

個室の扉が開き、赤い服の男が雪女の隣に座った。雪女が息を吹きかけても、男はホウホウホウと笑っている。

「ソリで夜景でも見ないか?」

もうすぐ雪女は、転機を迎える。
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公開:19/12/30 15:22

たらはかに( 日本 )

たらはかに

https://twitter.com/tarahakani
猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。

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