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来た。
体の節々がぱっくりと開く、この感覚。
あかぎれじゃない。瞼だ。
私の体は人生の岐路に立ったとき、節々にある目が開く。

最初にこの"節目"が開いたのは中学生、憧れの先輩に卒業式のあと告白したとき。驚いて思っていたより大きな声が出て、先輩は半ば押されるように頷いてくれた。
そのあとも、高校受験の日や、必死で働いたブラック企業に辞表を叩きつけた日。人生の節目で"節目"たちは開き、私の一挙手一投足を見つめていた。段々その目が語ることも読み取れるようになり、その助言…いや、助眼?には随分助けられた。
そして今日、私は3年付き合って結婚まで考えていた彼に、浮気について問い詰めに行く。
証拠を握りしめた私の手から、"節目"が目配せする。うん。見て見ぬ振りをするか迷っていたけど、もう大丈夫。私は私を大事にするよ。ちゃんと見届けてね。

私は私の"節目"たちに見守られながら、玄関の扉を開けた。
ファンタジー
公開:19/12/30 15:14

みきやん

普段は病院で働くひと。
のんびり妄想したい。

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