水無月の花嫁

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その日、京都で甘味めぐりをしていた小豆餡子(あずきあんこ)は暴走するモナカーに轢かれそうになった。
その危機を間一髪で救った男がいた。三角堂という老舗和菓子屋の若大将、白井外郎(しろいういろう)である。
その際、外郎の上にくっつく形となった餡子。二人はその瞬間、恋に落ちた。
「餡子さんは水無月というものをご存じですか?」
「旧暦の六月かしら?」
「間違ってはいませんが、和菓子の水無月です」
「和菓子?」
京都では夏越の祓が行われる六月三十日に、一年の残り半分の無病息災を祈念してこれを食べる風習がある。
「白いういろうの上面に甘く煮た小豆をのせ、三角形に切り分けたものですよ」
「それって……」
そう、二人はまさに運命の出逢いを果たしたのだ。
「結婚しましょう。式は六月に」
「梅雨の時期ね。私、湿気に弱いの」
「僕がいれば大丈夫です」
こうして餡子は六月の花嫁ならぬ、水無月の花嫁となったのだ。
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公開:19/12/30 12:34
更新:19/12/30 12:37
節目

壬生乃サル

まったり。

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壬生乃サル(MiBU NO SARU)
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