オニヤンマの絶望と夢

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 玉虫色の夜の下。
 トンボになって遠くへ行けたら、世界の花畑を横断してやろう。
「村で半端者が生きられると思うな!」
 ドサ、と砂袋が弾けた音がして、自分の頬がブクブクと腫れ上がる。殴られたのだ。と、理解する間もなく、逆の頬が捩れる。シロツメクサの白い景色が脳裏を過った。
「母さんに顔を見せずに出て行け!」
 私は駆けた。バイクに跨って、国道を疾走する。心は少年のまま、姿かたちだけが女性らしく成長する。終止符を打ちたかったのだ。私はもうシロツメクサの冠は被らない。
 海に辿り着くと、親友が待っていた。心中は断られ、あくまで私の旅立ちを見送るのだと言う。いい趣味してるよ。私は手を差し出す。
 出会えてよかった。ありがとう。
 感情の読めない顔。その顔で充分だった。これは恋だったのか、いや、それも後で良い。
 健全なる再会を祈りながら。
 次の世界へと。涙を拭って、33色の海に飛び込んだ。
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公開:19/12/30 11:52

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