月とスッポン、そして太陽

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ドラマの主人公にずっと憧れていた。スクリーンの向こうの彼らは頼もしい仲間に囲まれ困難にもめげずに予想もつかない方法で勝利し栄光を掴む。
まさに天上人というのがふさわしい彼らに私は自分を投影するのだ。

残念ながら私は主人公という柄ではなかった。
せいぜい通行人Aくらいだろう。
死にものぐるいで上を目指して、それでも中の下くらいの生活レベルをなんとか維持できていたにすぎなかった。
狭いアパートの一室が私の臨終の場所だ。

気がつくと、私は自分の人生を傍観者の立場で眺めていた。
スクリーンに映る私はどこにでもいる三文役者そのものだ。
「まさに月とスッポンね」
「いえ、貴方は私たちの太陽でした。先生」
声がして振り向くと天上人たちが私を取り囲んでいる。

「先生のおかげで私達は諦めず、輝くことができました。ありがとうございます」
そうか、私はスターにはなれなかったけど太陽にはなれたのか。
青春
公開:19/12/31 15:05
更新:19/12/31 15:28
新年 皆様のご多幸を 日本が世界が平和でありますよう

ばめどー

ぼちぼちやっていこうと思います。
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