新たな目
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三十歳になり、新しい目が首の後ろにできた。
私は妖怪である百々目鬼(とどめき)一族の末裔だ。先祖は片腕だけでも何十と目があったらしいが私の目は体全体合わせても数えるほど。
が、十年毎にどこかに新たな目ができる。
絆創膏や特殊メイクでこれまで何とかやってきた。
それでも交際相手にはばれ、ふられてしまう。
最近、同じ職場の男性と付き合い始めた。懸命に仕事をし、落ち込む者に声をかけ、時に黙って職場環境の改善に努める彼にふさわしい自分になりたいといつも思う。
「首の目、光ってるよ」
家で仕事に集中していたとき彼が言った。
「隠さないで。きれいだなぁ」
と彼は私の手を自分の手で包んだ。
虹彩が金色がかって光を放っているらしい。自分を変えるよう努める際にも同じことが起こった。
「黙ってたけど、この《時》は前から視えていたよ」
彼は微笑んだ。
「僕は時目鬼(ときめき)一族なんだ。時を視る目を持つ鬼」
私は妖怪である百々目鬼(とどめき)一族の末裔だ。先祖は片腕だけでも何十と目があったらしいが私の目は体全体合わせても数えるほど。
が、十年毎にどこかに新たな目ができる。
絆創膏や特殊メイクでこれまで何とかやってきた。
それでも交際相手にはばれ、ふられてしまう。
最近、同じ職場の男性と付き合い始めた。懸命に仕事をし、落ち込む者に声をかけ、時に黙って職場環境の改善に努める彼にふさわしい自分になりたいといつも思う。
「首の目、光ってるよ」
家で仕事に集中していたとき彼が言った。
「隠さないで。きれいだなぁ」
と彼は私の手を自分の手で包んだ。
虹彩が金色がかって光を放っているらしい。自分を変えるよう努める際にも同じことが起こった。
「黙ってたけど、この《時》は前から視えていたよ」
彼は微笑んだ。
「僕は時目鬼(ときめき)一族なんだ。時を視る目を持つ鬼」
ファンタジー
公開:19/12/31 14:04
更新:19/12/31 23:11
更新:19/12/31 23:11
ショートショート初心者です。
作品をたくさん書けるようになりたいです。
「潮目が変わって」(プチコン 海:優秀作)
「七夕サプライズ」(七夕ショートショートコンテスト:入選)
「最高の福利厚生」(働きたい会社 ショートショートコンテスト:入選)
選出いただきました。
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