「ふしめ」

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「私の体、よく見て」
ひとりの男の前で一糸纏わぬ女が立っていた。男はその女の裸を愛おしげに眺めている。
「実に、美しい」
「嘘はやめて。こんな体、美しいはずがないわ」
女の体の節々には目が付いていた。その目がぎょろぎょろと蠢く。
「些細な事さ。なにより私は君を、愛している」
男がそっと抱き締めると、女の節々の目から涙が溢れた。
「ありがとう」
「涙もまた、あたたかい」
こうして、ふたりは愛し合った。それは幾年も、幾年も。
やがて男は目に見えて老いていった。一方の女は変わることなく、美貌を保っている。
「いくつになっても美しい」
「ごめんなさい。実は隠していた事が……」
「不死女、だね」
「あなた、気付いて……」
「一緒に逝けなくて、すま……なぃ」
男が息絶えたその時、女の体の節々から目がスーッと消えた。
真の悲しみに女の涙は涸れていた。しかし胸のうちでは流れ続けていたのだ。
その涙が……。
ホラー
公開:19/12/31 11:11
更新:19/12/31 11:14
節目

壬生乃サル

自由きままに、気の向くままに。
サルも木から落ちる・る・る~。

壬生乃サル(MIBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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