節目と節芽

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「他人の為に、何かをしてあげなさい。そうすれば、他人から、何かを授かる」
今年の9月、23回忌の法要を終えた父が、生前、私達3兄弟が子供の時に、よく口にしていた言葉である。温厚な性格で、自分の事より他人の為に一生懸命な、有言実行の66年の一生だった。
小4のある日、私は父に尋ねてみた。
「お父さんは、他人の為に何かをしてあげて、一体何を授かったの?」
「母さんと巡り合えたのさ」
父の答えは、即答だった。
「人には人生の節目と言うのがある。父さんも、36年生きてきて、いくつかの節目があったが、それが一番大切な節目さ」
「『ふ・し・め』かぁ。何となく分かる気がする。それじゃ、僕達兄弟は?」
「おまえ達が生まれた事も、勿論、大きなフシメだよ。でも、漢字が違うんだ」
「へぇ、どんな字書くの?」
父は、側にあった新聞の折り込み広告の裏に、マジックで力強くこう書いた。

【節目から生まれた、節芽】
その他
公開:19/12/31 10:11
更新:19/12/31 10:27
節目 他人=ひと

渡辺 隆一( 千葉県野田市 )

千葉県野田市在住の、渡辺隆一です。
小学4年生の頃から、文章を書くのが
好きで、今も、趣味で書いています。
ショートショートが、好きです。

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