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19の春。付き合ってた年上の女性に別れ話を切り出した。キライになったとか不満があったとかじゃなく引越しをする為だ。だからこそ言い出せないでいた
彼女はいつも私と結婚して、しつこく見合いを勧めてくる親戚を驚かせるんだと上機嫌に話してくれていた
いつものように自室に招き入れて他愛ない話をして、唇から順に体も、心も、重ねていった。だけどたった一つだけ重ならなくなってしまったものがある
僕たちの将来だ
彼女に背中を向けたまま、僕は遂にそれを伝えた。
そしてしばらくの沈黙のち、部屋の中に
カチカチカチッ
カチカチカチカチ
と奇妙な音が鳴り響いた
振り向くと彼女が呆然とした顔で、カッターナイフの刃を出したり引っ込めたりしていた
刺される…!?
と思った私は彼女の手を両手で包み込みつつ刃をしまったカッターナイフをそっと取り上げて部屋の隅に蹴飛ばした。カッターナイフの刃の節目が何故だかやけにハッキリ見えた
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公開:19/12/30 23:55

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