幸福度節目検診

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「あれ? 何かありました?」N医師は一瞬でK氏の劇的な変化を見抜いた。
 国の重要指定項目『幸福度節目検診』。
 年に一度の割合で推進しているが、K氏は自身の幸福度が低いことに悩み、度々指導を受けていた。

「あ、はい。わかります? あの、その・・・・・・
 実は、猫を飼い始めまして。よく見かける野良猫で、とても人懐っこい子で。この度やっと迎える環境が整って。もうかわいくてかわいくて。
 それで、その・・・・・・私、今、とても幸せになりました!」

「すごいですね、今の患者さん。幸福度数値が振り切れてましたよ」看護師のQが無意識におやつのピーナッツを頬張りながら呟いた。
「ほら、また。頬袋がパンパンだぞ」ドクターNはQをたしなめながら、じっとモニターを見つめた。
 感動すると元の姿に還る彼ら。

「猫一匹であれほどの力――。あやかりたいたいものだ」
 N医師は頭の耳を撫でながら笑った。
ファンタジー
公開:19/12/29 14:17
節目 コンテスト

二森ちる( 瞑想と妄想の森で )

二森(ふたもり)ちると申します。
人生の節目に、二つ目の名前をつくりました。童話や小説などはこの名で執筆しています。
怪談やホラー系は「鬼頭(きとう)ちる」名義で活動しています。
どうぞよろしく。

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